お店をやめる、引退される営業者さんから、
内装や造作ごと、まるっと譲り受ける場合があります。
個人事業主が多く、また業界同士の関係が密な
バー業界、スナック業界では比較的よくあることですよね。
長く続いてきたお店であれば、知名度があるので
看板もそのまま使用する例も珍しくないようです。
家主さん(や管理会社さん)がOKしてくれるなら
譲り受ける側は初期費用も抑えられるし、
譲る側からしても、内装の撤去費用がかからない
(場合によっては売れる)ので、お互いに利のある話です。
さて、この場合、営業するための店舗はあるので、
なんなら明日からでもすぐに営業を始めることは
できてしまいます。
しかし、手続き的にはそういうわけにはいきません。
飲食店を営業するには、保健所から営業許可を取得
する必要があります。
この「飲食店営業許可」は
『お店』+『営業者』
に対して出されるものなので、
『営業者』が変わった場合は、
たとえお店の設備が全く変わっておらず、
看板(屋号、店名)も同じであったとしても、
「新たな『営業者』に対する」許可が必要になります。
同時に、前の営業者の方は廃業届を出すことになります。
同じ店舗で同じ看板であっても、
手続き上は全く別の営業として扱われるということです。
この点、保健所の営業許可については、譲渡とか
引き継ぎの手続きはありませんので、
新たに営業許可の申請をして、
店舗設備の検査を受け、
新たに許可を受ける必要があります。
(例外的に、相続や法人の合併等の場合に限り、
承継の手続きがあります)
全く新規の許可を申請することになりますので
営業許可の申請手数料がかかりますし、
(18000円程度)
再度検査を受ける必要がありますので、
撤去されていたり、壊れてしまっている設備があったりすると
新たに設置や交換が必要なこともあります。
また、深夜営業店舗や、風俗営業店舗の場合は、
こちらも新たに届出または許可を受ける必要があります。
そうでなくても、
飲食店営業許可の取得に1~2週間程度かかるほか、
深夜酒類提供店は届出から10日間は深夜営業ができませんし、
(お酒を提供しなければ営業できますが)
風俗営業の許可は、申請から許可まで約2ヶ月かかります。
ですが、面倒だからとそのまま営業していると、
無許可営業、名義貸し営業として、自分ばかりか前の
営業者さんまで規制の対象になってしまいます。
営業を譲り受ける際は、引き継ぎにかかる費用や時間も
考慮に入れつつ、進めていきたいですね。