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飲食店を開業・開店するために必要な資格

2021年7月27日 火曜日

飲食店を始めるには資格が必要?

「飲食店を開業するためには何か資格が必要ですか?」

というご質問を頂くことがあります。

 

「調理師免許がないと飲食店を開業できないのでは?」

という不安をお持ちの方もいらっしゃるようです。

 

そこで、ここでは飲食店を始める際に必要な『資格』についてお伝えします。

 

お店ごとに『食品衛生責任者』が必要

まず、飲食店を始める際に必要な資格というものは、厳密にいうと「ありません」。

 

ただ、お店ごとに『食品衛生責任者』を置くことが義務付けられており、調理師や製菓衛生士などの一定の資格を保有していれば、その資格によって「食品衛生責任者」となることが出来ます。

 

ですが、そういった資格を持っていないと「食品衛生責任者」になれないのかというと、そんなことはありません。

 

各都道府県の『食品衛生協会』が定期的に実施している「食品衛生責任者養成講習」を受講すれば、特に調理師などの資格がなくても「食品衛生責任者」となることが出来ます。

 

つまり、

資格はなくても大丈夫!

●調理師などの資格を持っていれば、その資格によって「食品衛生責任者」となることが出来るが、

●そうした資格がなくても、「食品衛生責任者養成講習会」を受講すれば「食品衛生責任者」になることが出来る

ということです。

 

今現在、調理師などの特別な資格を持っていなくても、きちんと営業許可を取得して飲食店を開業することは出来ます!

安心してくださいね。

 

 

ちなみに、「食品衛生責任者」は、個人事業主や社長(いわゆるオーナー)である必要はありません。

 

従業員を雇って現場を任せる(店長さんなど)ような場合は、実際に現場に立つ店長さんに講習を受講してもらい、「食品衛生責任者」になってもらっても構いません。

 

お店に「食品衛生責任者」がいればよいのであって、オーナー自身は、資格がなくても、講習も受けていなくても、衛生管理について何の知識もなくても、それはそれでいいのです。

(多少あった方がいいだろうとは思いますが)

 

むしろ、現場の衛生管理を担うのが「食品衛生責任者」ですので現場の責任者=店長さんなどの方が適任であるともいえます。

そのあたりは今後の営業を踏まえて決めていきましょう。

 

『食品衛生責任者養成講習』の受け方

「食品衛生責任者養成講習」は、各都道府県で常時開催されていて、費用は1万円程度。たった1日の講習で終了します。

 

あまりハードルは高くない講習と言えますが、人気があり、直近の講習会は常に満席。数か月待ちもざら、というとても競争率の高い講習会です。

 

この講習は一度受けておけば基本的にずっと使えますし、日本全国どこへ行っても有効です。

 

つまり、いま東京都で講習を受けておけば、将来、青森県で居酒屋を始めるときにも使えるのです。

 

 

実際は、東京都心部の講習会は常に満席なので、比較的余裕のある立川や、近隣の都道府県で開催されている講習会を受講するのも手です。

 

ただし、終了時に手渡される『修了証書』が、東京都の場合は手帳ですが、横浜や埼玉など、賞状のような形で交付される自治体もあります。

気になる方は、あらかじめ予約するときに聞いてみるといいかもしれません。

※川崎市は手帳らしい、という情報を入手しました。

 

 

【申し込み方法】

東京都食品衛生協会ホームページで空いている日程を探す

②申し込み日する日が決まったら、HPから申込用紙をダウンロード

 (保健所や協会窓口にも申込用紙はあります)

③所定の内容を記入して、返信用封筒を入れて郵送

 

郵送のみ。電話申し込みは受け付けていません。

 

受講日が決まると受講票が送られてきます。

※詳しくは東京都食品衛生協会ホームページ(または各道府県の食品衛生協会ホームページ)をご確認ください。

 

 

なお、満席で開店までに受講できない場合は保健所に相談してみましょう。

保健所でも講習会が混んでいる事実は把握していて、多くの保健所で柔軟に対応してくれます。

 

よい物件や開業のチャンスがあれば、「講習が受けられないから」という理由で逃す必要はありませんよ!

 

 

 

食品衛生責任者飲食店営業許可のことで

お困りの際はお気軽にご相談ください。

→無料でお問い合わせ(24時間受付中)

個人飲食店が法人化すると損?

2021年7月21日 水曜日

飲食店の場合、最初は個人で始めて、軌道に乗ってきた

タイミングで法人化する、というのはよく聞くお話です。

 

ある程度以上の利益があると法人の方が税率が低かったり、

経費に算入できる幅が大きくなったり、

さらには消費税の免税期間を延ばすことが出来たり、

 

節税効果がある、というのはよく聞くお話です。

 

 

しかし、法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)の

加入が義務になるので、その分固定費は増えてしまいます。

 

 

飲食店は一人で切り盛りしているお店や

家族経営(同居の家族だけで回している)が多いうえ、

個人事業であれば従業員を5人以上雇っていても

社会保険の適用が義務ではないため、

 

あまり社保に加入している事業者さんは多くないと思います。

(事業主や家族従業員はそもそも加入できない)

 

しかし、法人にしてしまうと、社保に加入しないと

いけなくなります。

 

たとえ事業主=社長が一人で営業していて、

従業員は一人も雇っていないとしても、自分=社長を

社会保険に加入させなければいけません。

 

 

会社が半分負担して、社長個人の給料からも天引きなので、

社長としては、なんか二重に取られている気が‥

 

もともと従業員を雇って経営していた場合は、

社会保険の負担だけでも相当の金額になりそうです。

 

 

社保の手続きや、毎月の処理をするには、新たに

社会保険労務士さんをお願いする必要もでて来るかもしれません。

 

 

もちろん、逆に言うと、個人事業主のままだと永遠に

社保に加入できないので、法人化して社長になることで、

より保証が厚いといわれる社保に加入できるようになる、

とも言えます。

 

 

組織化などの明確な法人化の目的がある場合はともかく、

節税などの目的で(特に一人社長で)法人化する場合は、

節税効果と同時に、経費や固定費がどう変わるか、その辺も

あわせて考えたいですね。

前の営業者さんからお店を譲り受けたときの手続き

2021年7月17日 土曜日

お店をやめる、引退される営業者さんから、

内装や造作ごと、まるっと譲り受ける場合があります。

 

個人事業主が多く、また業界同士の関係が密な

バー業界、スナック業界では比較的よくあることですよね。

 

長く続いてきたお店であれば、知名度があるので

看板もそのまま使用する例も珍しくないようです。

 

家主さん(や管理会社さん)がOKしてくれるなら

譲り受ける側は初期費用も抑えられるし、

譲る側からしても、内装の撤去費用がかからない

(場合によっては売れる)ので、お互いに利のある話です。

 

 

さて、この場合、営業するための店舗はあるので、

なんなら明日からでもすぐに営業を始めることは

できてしまいます。

 

しかし、手続き的にはそういうわけにはいきません。

 

 

飲食店を営業するには、保健所から営業許可を取得

する必要があります。

 

この「飲食店営業許可」は

『お店』+『営業者』

に対して出されるものなので、

 

『営業者』が変わった場合は、

たとえお店の設備が全く変わっておらず、

看板(屋号、店名)も同じであったとしても、

「新たな『営業者』に対する」許可が必要になります。

 

同時に、前の営業者の方は廃業届を出すことになります。

同じ店舗で同じ看板であっても、

手続き上は全く別の営業として扱われるということです。

 

 

この点、保健所の営業許可については、譲渡とか

引き継ぎの手続きはありませんので、

 

新たに営業許可の申請をして、

店舗設備の検査を受け、

新たに許可を受ける必要があります。

 

(例外的に、相続や法人の合併等の場合に限り、

承継の手続きがあります)

 

 

全く新規の許可を申請することになりますので

営業許可の申請手数料がかかりますし、

(18000円程度)

 

再度検査を受ける必要がありますので、

撤去されていたり、壊れてしまっている設備があったりすると

新たに設置や交換が必要なこともあります

 

 

また、深夜営業店舗や、風俗営業店舗の場合は、

こちらも新たに届出または許可を受ける必要があります。

 

 

そうでなくても、

飲食店営業許可の取得に1~2週間程度かかるほか、

深夜酒類提供店は届出から10日間は深夜営業ができませんし、

(お酒を提供しなければ営業できますが)

風俗営業の許可は、申請から許可まで約2ヶ月かかります。

 

 

 

ですが、面倒だからとそのまま営業していると、

無許可営業、名義貸し営業として、自分ばかりか前の

営業者さんまで規制の対象になってしまいます。

 

 

営業を譲り受ける際は、引き継ぎにかかる費用や時間も

考慮に入れつつ、進めていきたいですね。

 

「補助金」と「給付金」の違い

2021年7月8日 木曜日

補助金についてのお問い合わせが、最近また

増えているように感じます。

 

ただ、お話を伺っていると、補助金に関して

少なからず『誤解』があるように思います。

 

たとえば、

 

「申請すればお金がもらえる」

 

「もらったお金は自由に使える」

 

「いくつかの補助金を申請すれば

当面の資金を調達できる」

 

「コロナで影響を受けた事業者に対して、

政府が特別に資金援助してくれるものだ」

 

といったようなものです。

 

 

コロナ直後には、すべての事業者に対して

「給付金」の支給がありました。

 

その印象が強いためか、「補助金」も同じように

無条件に給付が受けられると考えてしまいがち

なのですが、

「補助金」と「給付金」はまったくの別モノです。

 

そこで、「補助金」と「給付金」を比較しながら、

「補助金」とはどんなものかお話します。

 

補助金の活用を検討されている方は参考に

されてみてください。

 

【補助金とは①】基本的に後払い

補助金は、「融資(借金)」ではないので返済する

必要はありません。

 

この点だけみると、給付金と同じく、「もらえる」とも

言えるかもしれません。

 

しかし、補助金は、基本的に後払い。

 

まずはこちらの投資活動(支出)があって、その

一部が、後から補填される、というものです。

 

申請しただけでお金が文字通り「もらえた」給付金

とは、この点が一番大きな違いだと思います。

 

 

【補助金とは②】お金の使途は指定・限定される

補助金は一定の政策的な目的のために税金を投入

しているものなので、

(例えば、コロナの感染拡大を防止するとか、

企業のIT化を促進するとか)

 

その目的に沿ったものしか対象にはなりません。

 

目下の資金援助のために一律支給された給付金

とは違い、補助金の交付の対象になる「使い道」も

細かく指定されます。

(例えば、東京都の業態転換助成事業であれば、

飲食店がテイクアウトや宅配を始めるためのものに限定)

 

自由になんにでも使えるわけではありません。

 

【補助金とは③】実際に入金されるまで時間がかかる

【①】でお伝えしたように、補助金は基本的に後払い。

 

まず企業が補助金の目的に沿った内容の投資活動を

行い、実際にかかった経費の一部(補助金ごとに決め

られた補助率による)を「後から」交付するというものです。

 

ということは、たとえばHPの作成をするとして、

HPが完成して、稼働しない限り補助金は入金

されません。

 

行う事業の内容にもよりますが、

スピード重視で入金された「給付金」とは違い、

実際に補助金が入金されるまで半年以上かかる

場合も普通にあります。

 

【補助金とは④】一定の政策目的のために支給されるもの

要するに、補助金は給付金とは違い、

「困っている事業者に当面の資金援助をする」

というものではないということです。

 

補助金は前述のように、

 

「感染拡大を推し進めるために、そのための

取り組みをする事業者を資金的に補助しよう」

 

「社会のIT化を推進するために、一定のITツール

を導入する企業を補助しよう」

 

といった、社会全体の政策駅な目的のために

税金を投入しているものです。

 

なので、税金が異なる目的のために使われる

ことのないよう、手続きも厳格になっているのです。

 

 

補助金の交付を受けるためには、まず、

その補助金の目的に沿った事業計画を作成し、

補助金の申請をします。

 

このときに先に見積りを取るなどして、

どれぐらいの経費がかかるか、その資金計画も

作成して提出します。

 

この申請段階で、対象外と判断されてしまうと

当然採択はされません。

 

また、対象に当てはまるものであったとしても

100%採択されるわけではなく、審査の結果、

5~6割程度しか採択されない補助金もあります。

 

 

無事採択されることが決定したとしても、

すぐにお金が振り込まれるわけではなく、

採択された事業計画をまずは自社の資金で

実行します。

 

そして、実際にどれだけの経費を支出したか、

その結果どんな効果が得られたか、

 

振込の明細や領収書、

場合によっては請書や納品書などの書類や、

工事前後の写真、購入した現物の写真なども

提出して、結果を報告します。

 

 

その報告書を事務局が審査して、

「確かに、補助金の対象となる事業を行い、

そのために確かに申告された金額を支出している」

ということが確認されると、

この段階で初めて、補助金の交付が確定します。

 

この段階で、実際に支出した内容が対象外と

されてしまったり、証拠書類が不十分と判断されて

しまうと、

 

その分の経費は対象外として減額されてしまったり、

最悪の場合交付されない可能性もあります。

 

 

この後、振込先の口座のやり取りや、入金を申請する

手続きなどがあり

(確定してもまだ手続きがあります)、

やっと、振込・入金となります。

 

 

コロナ対応の補助金の中には過去の支出も

対象としているものもありましたが、

あくまでも緊急事態での例外的な対応で、

 

先に事業を実施(先に支出)があり、

実施した金額の一定割合(補助率)を後から交付、

というのが補助金の基本的が流れです。

 

 

それもこれも、「当面の資金援助」ではなく、

「一定の政策目的に沿った投資活動を促進する」

ことが目的だからです。

 

 

「なんだ、じゃあお金がもらえるわけじゃないじゃないか」

と思ってしまいそうですが、

目下の資金調達としては確かにその通りですが、

 

何か投資活動をしようというときに補助金を使うことが

出来れば、トータルで考えれば、より少ない資金で

投資活動ができることになります。

 

ぜひ目的に合わせて利用を検討されてみてください。